Pedro Costa Retrospective 2020
『ヴィタリナ』公開記念
ペドロ・コスタ特集2020
『ヴァンダの部屋』から20年、世界を驚かせ続けるポルトガルの鬼才、ペドロ・コスタ。
2019年のロカルノ国際映画祭で最高賞の金豹賞と女優賞を受賞した最新作『ヴィタリナ』の公開を記念して、特集上映を開催する。
長編デビュー作『血』から日本劇場未公開の短編作品『わたしたちの男』、また『コロッサル・ユース』を制作中のペドロ・コスタ監督を記録したドキュメンタリー 『映画作家ペドロ・コスタ/オール・ブラッサムズ・アゲイン』など、その類まれな軌跡を見つめる。
アテネ・フランセ文化センターにて
8/18(火)〜21(金)、8/24(月)〜27(木)
主催 | アテネ・フランセ文化センター シネマトリックス |
---|---|
協力 | アンスティチュ・フランセ日本 ヴュッター公園 Bart.lab コミュニティシネマセンター (株)アイ・ヴィー・シー 映画美学校 ポルトガル大使館 |
上映作品
(13作品/10プログラム)
- 血 O Sangue 1989
- 溶岩の家 Casa de Lava 1994
- 骨 Ossos 1997
- ヴァンダの部屋 No Quarto da Vanda 2000
- 映画作家ストローブ=ユイレ あなたの微笑みはどこに隠れたの?
Danièle Huillet, Jean-Marie Straub cinéastes : Où gît votre sourire enfoui? 2001 - 六つのバガテル 6 Bagatelas 2002
- うさぎ狩りThe Rabbit Hunters 2007
- タラファル Tarrafal 2007
- わたしたちの男 O nosso Homem 2010
- コロッサル・ユース Juventude em marcha 2006
- 何も変えてはならない Ne change rien 2009
- ホース・マネーCavalo Dinheiro 2014
- <参考上映>映画作家ペドロ・コスタ/オール・ブラッサムズ・アゲイン
Tout refleurit: Pedro Costa, cinéaste 2007(オーレリアン・ジェルボー監督作品)
A
-
血
英題:Blood 原題:O Sangue
1989年 ヴェネチア国際映画祭出品
1990年 ロッテルダム国際映画祭 国際批評家連盟表彰青年ヴィンセントは病に苦しむ父親を安楽死させ、墓地に埋める。父親の消息に疑問を持った伯父は青年の許にやってきて弟を連れ去ってしまった。一方、父親の負債の返済を求めて二人組が現れる。弟を取り返すべく動く青年を二人組が追っていく・・・。ペドロ・コスタ長編第1作となる本作はフィルムノワール的風貌を見せつつ、瑞々しく輝く画面が観る者を魅了する。マノエル・ド・オリヴェイラ作品常連のルイス・ミゲル・シントラが重要な役で華を添えている。
B
-
溶岩の家
原題:Casa de Lava
1994年 カンヌ国際映画祭〈ある視点〉部門出品
1994年 テサロニキ国際映画祭 最優秀芸術貢献賞
1994年 ベルフォール国際映画祭 最優秀外国映画賞看護師のマリアーナは、リスボンの工事現場で意識不明となった男レオンに付き添って彼の故郷カーボ・ヴェルデに向かうが、病人とともに荒野に取り残される。島民に病院まで運んでもらうが島民の誰一人として病人のことは語ろうとしなかった・・・。
“カーボ・ヴェルデから届いた手紙”というペドロ・コスタの重要なモチーフが初めて登場し、後のフォンタイーニャス地区を舞台にした作品に繋がる重要作。伝説的女優、エディット・スコブが特別出演している。
C
-
骨
原題:Ossos 英題:Bones
1997年 ヴェネチア国際映画祭 金のオゼッラ賞(撮影賞)
1997年 ベルフォール国際映画祭 審査員特別賞赤ん坊を産んだティナはリスボン郊外にあるスラム街に戻ってくるが、夫は赤ん坊を連れて家を出て行ってしまう。彼は物乞いをし、看護婦のエドゥアルダと知り合い、彼女の家に居候するようになる。ティナの隣人クロチルドは家政婦をしているが、ある日エドゥアルダの家でティナの夫に出会う。スラム街フォンタイーニャスに住む人々を起用し、圧倒的なリアリズムで底辺の生活の厳しさを描き、高く評価された。『ヴァンダの部屋』のヴァンダも家政婦役で出演。
D
-
ヴァンダの部屋
英題:In Vanda's Room 原題:No Quarto da Vanda
2000年 ロカルノ国際映画祭 ドン・キホーテ賞・特別賞・青年批評賞・最優秀賞
2001年 山形国際ドキュメンタリー映画祭 最優秀賞・国際批評家連盟賞
2002年 カンヌ国際映画祭 フランス文化賞・最優秀外国映画作家数十人の規模の映画制作に疑問を持ったコスタは小型のDVキャメラを手にフォンタイーニャスに戻り、撮影を敢行。『骨』に出演したヴァンダ・ドゥアルテとその家族を中心に、再開発が進み、パワーショベルによる破壊が進む街に暮らす人々を見つめる。小津、溝口、フォードを想起させるスタンダードサイズの画面と、街に響く破壊音の対比が強烈な印象を残し、新たなドキュメンタリー表現として多くの映画作家に影響を与えた。
E
-
映画作家ストローブ=ユイレ
あなたの微笑みはどこに隠れたの?原題:Danièle Huillet, Jean-Marie Straub cinéastes : Où gît votre sourire enfoui?
二人組の特異な映画作家であり夫婦でもあるジャン=マリー・ストローブとダニエル・ユイレが、1999年秋のワークショップで行なった「シチリア!」第3版の編集作業の様子を収録したドキュメンタリー。映画作家の創作のプロセス・瞬間だけでなく、ときに滑稽でさえあるストローブ=ユイレ夫婦の物語や映画への愛が、膨大な議論や感情のやりとりを通じて描かれる。
F
【短編集】
-
六つのバガテル
原題:6 Bagatelas
ストローブ=ユイレを撮影した『あなたの微笑みはどこに隠れたの?』の未使用カットから6つの場面によって構成された嬉遊曲(ルビ:ディヴェルティメント)。
-
うさぎ狩り
原題:The Rabbit Hunters
『コロッサル・ユース』のヴェントゥーラが語り部を演じ、故郷という土地を巡る人間関係の過去と現在が交錯する。
-
タラファル
原題:Tarrafal
ポルトガルによって建設された政治犯用の強制収容所が存在した土地タラファル(カーボ・ヴェルデ)をめぐって語られる土地と家族の運命。
-
わたしたちの男
原題:O nosso Homem
未踏の故郷であるカーボ・ヴェルデについて思いを馳せる青年アルベルト。異なる望郷の想いを抱える初老のヴェントゥーラ。人生と死における希望と絶望の狭間を探索する。
G
-
コロッサル・ユース
英題:Colossal Youth 原題:Juventude em marcha
2006年 カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品
『ヴァンダの部屋』のスラム街は取り壊されて、ヴァンダは新しい集合住宅に移り住んで夫と子どもと暮す。カーボ・ヴェルデから移り住み34年間、フォンタイーニャス地区にすんできたヴェントゥーラ。妻に去られた後、まだ残るスラム街と新築住宅を行き来し"子どもたち"を訪ねる。過去と現在を縦横無尽に交錯させながら、彷徨える魂を描き出す。ヴェントゥーラが繰り返し口ずさむ手紙が感動を呼ぶ。
H
-
何も変えてはならない
原題:Ne change rien
『そして僕は恋をする』(アルノー・デプレシャン)や『恋ごころ』(ジャック・リヴェット)などに主演し、フランス映画作家たちのミューズとして知られるジャンヌ・バリバール。彼女の歌手としての活動を、リハーサルやレコーディング、コンサートやレッスン、曲は《ジョニー・ギター》からオッフェンバックの《ペリコール》まで、舞台をフランスの村の屋根裏部屋から東京のカフェへと移しながら、独自の視点で映画にした。
I
-
ホース・マネー
英題:Horse Money 原題:Cavalo Dinheiro
2014年 ロカルノ国際映画祭最優秀監督賞
2015年 山形国際ドキュメンタリー映画祭大賞『ヴァンダの部屋』『コロッサル・ユース』に続き、リスボンのスラム、フォンタイーニャス地区にいた人々と創り上げ、主人公も『コロッサル・ユース』のヴェントゥーラ。ヴェントゥーラ自身のカーボ・ヴェルデからの移民の体験をもとに、ポルトガルのカーネーション革命や植民地支配からの独立などの近代史を背景に、ポルトガルに暮らすアフリカからの移民の苦難の歴史と記憶を、ひとりの男の人生の終焉とともに虚実入り混じった斬新な手法で描く。
J
<参考上映>
-
映画作家ペドロ・コスタ/オール・ブラッサムズ・アゲイン
英題:All Blossoms Again: Pedro Costa, Director
原題:Tout refleurit: Pedro Costa, cinéaste『コロッサル・ユース』を制作中のペドロ・コスタ監督を記録する。監督と出演者たちとのやりとり、編集室でのラッシュ作業に加え、『骨』『ヴァンダの部屋』『映画作家ストローブ=ユイレ/あなたの微笑みはどこに隠れたの?』などの映像を交えて、監督の映画観を紐解く。『ヴァンダの部屋』の舞台となったフォンタイーニャスのスラム街は取り壊され、空き地になった場所を訪れ、語る監督・・・。『まぼろし』(フランソワ・オゾン)ほか、照明等の技師としても多くの作品に関わっているフランスのオーレリアン・ジェルボーが監督。
上映スケジュール
8月18日(火) | 14:30 | 血(1989/95分) |
---|---|---|
16:30 | 溶岩の家(1994/110分) | |
19:00 | 骨(1997/94分) | |
8月19日(水) | 14:30 | ヴァンダの部屋(2000/178分) |
18:00 | コロッサル・ユース(2006/155分) | |
8月20日(木) | 14:30 | 映画作家ペドロ・コスタ/オール・ブラッサムズ・アゲイン(2007/78分/オーレリアン・ジェルボー監督) |
16:30 | 骨(1997/94分) | |
18:30 | 溶岩の家(1994/110分) | |
8月21日(金) | 14:00 | 何も変えてはならない(2009/103分) |
16:30 | 映画作家ストローブ=ユイレ あなたの微笑みはどこに隠れたの?(2001/104分) | |
19:00 | 血(1989/95分) | |
8月24日(月) | 14:30 | ホース・マネー(2014/104分) |
17:00 | 短編集 六つのバガテル(2002/18分) うさぎ狩り(2007/23分) タラファル(2007/16分) わたしたちの男(2010/26分) |
|
19:00 | 映画作家ストローブ=ユイレ あなたの微笑みはどこに隠れたの?(2001/104分) | |
8月25日(火) | 16:00 | コロッサル・ユース(2006/155分) |
19:00 | 映画作家ペドロ・コスタ/オール・ブラッサムズ・アゲイン (2007/78分/オーレリアン・ジェルボー監督) |
|
8月26日(水) | 14:30 | 短編集 六つのバガテル(2002/18分) うさぎ狩り(2007/23分) タラファル(2007/16分) わたしたちの男(2010/26分) |
16:30 | ホース・マネー(2014/104分) | |
19:00 | 何も変えてはならない(2009/103分) | |
8月27日(木) | 15:30 | ヴァンダの部屋(2000/178分) |
19:00 | ホース・マネー(2014/104分) |
料金
■ 各回入替制
■ 全作品日本語字幕付
■ チケットは1回目の上映の1時間前から当日上映分を販売します
■ 料金
【一般】1回券 1500円/3回券 3000円
【学生・シニア】 1回券 1300円
【アテネ・フランセ文化センター会員】 1回券 1000円
※『ヴィタリナ』前売券お買い上げ又はご提示 1000円
会場:アテネ・フランセ文化センター(御茶ノ水)(新型コロナ対策定員79名)
東京都千代田区神田駿河台2-11 アテネ・フランセ4F
JR御茶ノ水・水道橋駅より徒歩7分
TEL 03-3291-4339(13時〜20時)/ info@athenee.net