コメント
小津のようで、フォードのようで、ジャック・ターナーのようでいながら、なお、まぎれもなくペドロ・コスタ的としかいえぬ苛酷な画面が、穏やかに見るものを狂わせる。
覚悟はできているだろうか。
ヴァンダに続くヴェントゥーラの新たな冒険が、いま、始まろうとしているのだ。
蓮實重彦
[映画評論家]
映画とは例えば映画館を出た後ぱっと夢と消える映画もあれば、ジワジワと家に帰ってから走馬灯のように思い出す映画もある。ペドロさんの映画は後者の方であり言うなれば人に取り憑く映画だと思う。もう大分前にこの映画を見たはずなのにあのファーストシーンは私の心を掴んで離さない。
寺島しのぶ
[女優]
ペドロ・コスタの映画は、映画の存在意義へのさらなる思考を見る者に迫る。
彼は、監督の内面世界をリアルにスクリーンに映し出す。
僕は思う、ペドロ・コスタの映画は永遠に芸術の一画を占め続けると。
王兵(ワン・ビン)
[映画監督『鉄西区』『鳳鳴ー中国の記憶ー』]
打ちのめされるほど圧倒的。これは観ておくべきです。
中原昌也
[作家・ミュージシャン]
誰が生者で誰が死者だかわからなくなる煩雑なフラッシュバックは、その捉え難さによって登場人物たちを幽霊にしていく。その過程はじゅうぶんスリリングだ。
青山真治
[映画監督]
失われた人間のつながり、バラバラになってしまった世界=イメージ、それらを人間の手によってもう一度つなぎ直す営み、それが映画である、ことを私たちは発見する。静かなユーモアと愛に満ちた革命的なクラシック!
諏訪敦彦
[映画監督]
いやー凄い作品でした! 9・11以後の建築映画といえば、まず第一にこの作品ですね。『ヴァンダの部屋』も素晴らしかったけれど、それ以上に、極めて意識的に建築が撮られていました。建築が生き物のように登場した最初のシーンでもうガーンと来ちゃいました。
どのカットも、そのままレンブラントやフェルメールやロイスダールなどのような絵画になっているという、驚くべき作品。全部のカットを並べて見てみたいものです。
鈴木了二
[建築家]
驚嘆すべき、時空間と関係性の表現。ちいさく、単純ながらも、最大級の効果を発揮するアクション。映画はなおも"先端"を示し得ることを、『コロッサル・ユース』が証明した。
阿部和重
[小説家]
人生の細部と、日々の出来事の同心円を静かに観察するコスタ監督の鋭い目によって、不可避の運命に対する人間の戦いに接近する。
ジム・オルーク
[ミュージシャン]
この映画が提示しようと試みるものは、あまりにも深い。彼らは語り合い、時には無言のまま側に寄り、あらゆることを確認し合う。ゆっくり、ゆっくりと、その姿勢は誠実で、時に哀しい。
(「VAGANCE」より抜粋)
中村文則
[作家]
暗闇の中の一条の光を見つける入念にして繊細な努力が、この奇跡の映画を創りだした。
柳下毅一郎
[映画評論家・特殊翻訳家]
人はなぜこのショットを撮るのか、どうしてこの光でなければならないのか、映画の中の映画に向かって、無言の問いを投げかける。
コスタの重力は、深く、鋭く、核心をつらぬく。
舩橋淳
[映画監督]
『コロッサル・ユース』は、希望の灯。
かつて『ヴァンダの部屋』が僕の背中を押してくれたように、この映画を思うと、濁った空気をかき分けて行ける気がする。
七里圭
[映画監督]
覚悟はできているだろうか。
ヴァンダに続くヴェントゥーラの新たな冒険が、いま、始まろうとしているのだ。