配給作品 distribution
キドラット・タヒミック監督作品
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500年の航海 Balikbayan #1 Memories of Overdevelopment Redux VI
フィリピン/2017年/英語・タガログ語/カラー/DCP/161分
ベルリン国際映画祭2015カリガリ賞
2015年10月東京国際映画祭、2016年8月あいちトリエンナーレで上映。
2019年1月シアター・イメージフォーラムにて再編集版を公開マゼランによる世界一周から約500年になるが、マゼラン自身は途中フィリピンで命を落としており、実際に世界一周をはじめて成し遂げたのは、マラッカ出身の奴隷エンリケであるという主張をもとにしたドキュメンタリードラマ。1980年代から30年以上かけて制作を続けて完成させた。当初監督自身がエンリケ役を演じていたが、途中で交代、マゼラン役も変わるなど、映画の約束事を自由に飛び越えるタヒミックならではの壮大な物語。
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虹のアルバム WHY IS YELLOW MIDDLE OF RAINBOW?
フィリピン/1994年/英語・タガログ語/カラー/16mm/175分
'93ボンベイ国際映画祭審査員特別賞(93年版)
1994年7月P3にて特別上映、8月中野武蔵野ホールにて公開(パンドラとの共同配給)
「なぜ虹の真中は黄色なの?」という家族のおしゃべりがきっかけに、1981年より13年間、3人の息子たちの成長の記録と共に増え続けるフッテージ。七色の虹の間を、さまざまな色のスペクトルを自由に行き来しながら家族の成長と映画の成長が重なりあっていく作品。「とるにたらない緑」「怒れる黄色」「好奇心の強いピンク」「植民地の赤、白、黒」「調和のとれないディズニー色」「惨たんたる灰色」「インディオ先住民の茶色」と監督のまなざしに同調するように、終わることのない世界へと入り込んでいく。
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フィリピンふんどし 日本の夏 JAPANESE SUMMERS OF A FILIPINO FUNDOSHI
日本、フィリピン/1996年/カラー/16mm/39分
企画・制作:愛知芸術文化センター1996年9月愛知芸術文化センターにてプレミア上映、11月BOX東中野にて公開
「どうしてみんなふんどしをしめたがらないのか?」「どうしてふんどし文化が消滅しつつあるのか?」「これらの疑問とフィリピンの植民地化されてきた歴史に関係があるのだろうか?」という疑問を着想点に、日常生活のなかに知らずと浸透してしまっている西洋的な身体観を見つめ直す。ハリウッドの文化的ヘゲモニーによって植民地化された目から、自分たちの身体に対する基本的な姿勢、身体的な美の基準を探究する作品。
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悪夢の香り PERFUMED NIGHTMARE
フィリピン/1977年/カラー/16mm/95分
出演:キドラット・タヒミック1977年ベルリン国際映画祭批評家賞
1982年10月国際交流基金映画祭にて上映、96年11月BOX東中野にて公開
オカッパ頭に山羊ヒゲの貧しいフィリピン人青年キドラット(監督本人)は宇宙飛行士になることを夢見ている。知己をたまたま得て、ひとまずパリに赴くことになった彼は、村をあげての大騒ぎの中、憧れの地へ発つのだが、日夜チューインガム自販機の補充という単純作業に追われ、宇宙飛行士への夢は遠のいていく。巨大なスーパーの煙突に身を隠し故郷の村を想う主人公は、進歩という観念そのものが誤りなのだ、という考えに至る。
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竹寺モナムール TAKEDERA: MON AMOUR
フィリピン/1989年/カラー/VTR/60分
1994年12月キドラット・タヒミックひとまわり展にて上映、96年11月BOX東中野にて公開
「竹はしなっても折れない静かな力強さを持っている」。フィリピン人を象徴するイメージとして繰り返しタヒミック作品の登場する竹。埼玉県飯能にある竹寺の魅力にとりつかれた監督が、竹寺に住む大野家とタヒミック家族の「タケ外交」の様子をうつした、ホーム・ビデオ的ドキュメンタリー。
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メイド・イン・ホンコン YAN-KI: MADE IN HONG KONG
フィリピン/1980年/カラー/16mm/40分
2019年1月シアター・イメージフォーラムにて劇場初公開
衣服製造業に従事する香港の娘、ヤン・キと、就業中の事故によって解雇された母親との1日を描くことによって、香港の経済繁栄の矛盾を描いた作品。
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月でヨーヨー WHO INVENTED THE YOYO? WHO INVENTED THE MOON BUGGY?
フィリピン/1981年/カラー/16mm/90分
2019年1月シアター・イメージフォーラムにて劇場初公開
「ヨーヨーは、もともとフィリピンの狩猟民が携えていた武器であり、16世紀以後、他国に知られるようになった」という事実と「人類が初めて月面に到着した際、月面で使用した車はフィリピン系アメリカ人のデザインによるものであった」という事実に着想を得て制作された作品。
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トゥルンバ祭り TURUMBA
フィリピン/1983年/カラー/16mm/90分
1987年9月東京国際映画祭にて上映。
2019年1月シアター・イメージフォーラムにて劇場初公開「トゥルンパ」という年に一度の村の祝祭の日、たまたま通りかかったドイツ人の民芸品買い付けの女性が、カドゥの家族の開く露天の人形をすべて買い取ったことで、一家に異変が起きる。金の亡者と化した父親とカドゥは翌年のトゥルンパの季節の頃、ドイツへと旅立ち……。
Kidlat Tahimik キドラット・タヒミック
1942年フィリピン、バギオ生まれ。デビュー作『悪夢の香り』がベルリン国際映画祭で絶賛を浴び、批評家賞を受賞。代表作『虹のアルバム』は、フィルムが成長するかのように上映のたびに手を加え、新しいヴァージョンをみせるというユニークなスタイルで制作され、山形国際ドミュメンタリー映画祭には1989年の第1回から初期には毎回参加して、増殖する作品をパフォーマンスとともに披露した。2007年の山形では審査員も務めた。2012年、福岡・アジア文化賞受賞。