11●ドラマティック・サイエンス! 科学映画劇場
海の生物を扱った作品を中心に、真摯な探究心とユーモアに満ちた映画を次々と発表したフランスのジャン・パンルヴェ(1902〜1989)。オスが卵を養育する風変わりな魚の生態に迫る『タツノオトシゴ』はパンルヴェ映画のシンボル。また『ウニ』の棘の拡大撮影や抽象映画『液晶』では科学とアヴァンギャルドの融合も試みられた。
10.13(月・祝) 15:00 アテネ・フランセ文化センター
戦前にドイツ・ウーファ社が製作し、シャープな作風で世界を驚かせた先駆的な学術記録映画"クルトゥーアフィルム"。微速度撮影で植物の細かな動きを捉えた『緑の放浪者』や細胞分裂を顕微鏡撮影でフィルムに収めた『生命の神秘』など、ウーファの科学映画は独自の撮影術を発展させることで一種の様式美に到達した。
10.13(月・祝) 17:00 アテネ・フランセ文化センター
山形映画祭で好評を博した4作品を厳選。科学映画自体をテーマとした画期的な『サイエンス・グラフィティ』に始まり、次の羽田澄子監督作品『もんしろちょう』はカラフルな実験がグラフィカルにも楽しい。1万個以上の昆虫の卵がいくつ成虫になるかを追跡した『自然界のつりあい』は食物連鎖のメカニズムをロジカルに示した秀作。
10.13(月・祝) 18:50 アテネ・フランセ文化センター
生涯を鳥の撮影に捧げた稀有な映画作家下村兼史(1903〜1967)。望遠レンズを駆使して干潟の生き物たちをユーモラスにスケッチした『或日の干潟』は戦前期日本の科学映画の代表作。また遺作『ライチョウ』は、季節により羽の色を変えるライチョウを捉えようと、日本アルプスで採算度外視の長期撮影を敢行した執念の一本である。
10.14(火) 14:50 アテネ・フランセ文化センター
顕微鏡撮影の名手・小林米作(1905〜2005)は、微細な対象をドラマティックに見せる撮影術で国際的にも評価された。海中プランクトンの複雑な形状に迫る『マリン・スノー』はシネポエムの趣もある日本記録映画史上の傑作。また様々なマシンで活躍する潤滑油を追う『潤滑油』はエロティックな感触さえ併せ持つ魅惑の産業映画。
10.14(火) 17:00 アテネ・フランセ文化センター