生涯を鳥の撮影に捧げた稀有な映画作家下村兼史(1903〜1967)。望遠レンズを駆使して干潟の生き物たちをユーモラスにスケッチした『或日の干潟』は戦前期日本の科学映画の代表作。また遺作『ライチョウ』は、季節により羽の色を変えるライチョウを捉えようと、日本アルプスで採算度外視の長期撮影を敢行した執念の一本である。