Dir. 孫悦凌(スン・ユエリン
Dir. 林鑫(リン・シン)
風経
Blossoming in the Wind
監督、脚本、撮影、編集、録音、音楽:孫悦凌(スン・ユエリン)
製作:張凱文(チャン・カイウェン)
提供:孫悦凌
孫悦凌(スン・ユエリン)
Sun Yueling
1980年生まれ。上海戯劇学院舞台美術科を2003年に卒業し、雲南省の文化ボランティアとして活躍。2004年、上海真龍記実片スタジオに入社、本作を製作。2005年には『休憩地』『中』『美人也愁嫁』『蝶変』『崔健』の製作に参加し、上海戯劇学院大学院視覚芸術部に入学した。
監督のことば
多くの人が私の仕事は旅行ができて、なおかつ稼げるとうらやましがるのだが、それは誤解だ。現代人によくある浅はかな考え方であって、私にとってはただの仕事や旅行ではない。世界中を旅する僧侶のように感じている。撮影自体は経典を読み込み、深めるという行為に似ていて、偶然に身をゆだねることなく、日々自己鍛錬をしていかなくてはならない。まだ若く、長い道も歩ける私は、大都市の退廃を逃れている。さらに長い道を歩んでゆきたい。
私の頬をなでる風は、単なる新鮮な空気ではなく、土ぼこりや灰もまじっている。ピュアな場所もあれば、そうでない場所もある。ただ中国ドキュメンタリー映画の思考はそこで止まってしまっている。いわゆる伝統的とされる語りの手法をどう覆すか、もっと考えなくてはならない。今は、それが可能だ。他から感化されず猛然と撮り続けなくては自分自身の傍観者となってしまうと、自分に言い聞かせている。もっと勇敢に、自分の言葉を。
シノプシス
中国、雲南省・香格里拉地方、徳欽。チベット仏教の若いラマ僧と弟子の子どもたち、同行するカメラが雪の聖山を巡礼する至福の旅。みぞれや深い雪の中も無心に、茶目っ気たっぷりに歩き続ける一行を、村の人々と動物たちが温かく迎える。透き通る光の中で青い空、白い雲、鈴の音、足音、笑顔、歌声などの細部が輝き、祭典のような日常が描かれる。動物も人間も天真爛漫に聖と俗の世界を軽やかに行き交う。
陳炉
Chen Lu
カラー、モノクロ/ビデオ/29分
監督:林鑫(リン・シン)
撮影、編集:林鑫、張涛(チャン・タオ)
提供:林鑫
林鑫(リン・シン)
Lin Xin
画家、インディペンデントで実験映画を製作している。1960年、陝西省銅川生まれだが、祖先は江蘇省太倉に溯ることができる。作品は西安、北京の中国美術館ほか国内外で展示され、『文芸報』『中国画』等で紹介された。『美術』『人民日報道』『中国日報(英語版)』『散文天地』『中国新詩選』等の新聞、書籍、雑誌でも取り上げられ、受賞歴多数。学術論文も多数発表してきた。2000年には中央美術学院と北京大学が編纂した『今日中国美術』に名を連ね、評論家から「創造性豊かな主要アーティスト」のひとりとして選ばれた。2001年には雑誌「江蘇画刊」から『21世紀優秀芸術家画集—林鑫』を発刊し、また2002年に詩集『(口奥)!父親—黒色的記憶』を出版した。
本作は初監督作品。
監督のことば
これが私の初めてのビデオ作品なので、多くの落胆や壁にぶつかりながら1年をかけて製作した。観客に別々のアプローチから作品を理解してもらえるよう、いろいろな実験、記録、文学の要素を加えてひとつの作品に仕上げた。陳炉の人々100人の中から48人を選んで、登場し、陳炉を地元の視点で独白してもらった。
シノプシス
中国、陶器の町・陳炉を三部構成でスタイリッシュに描いたパノラマ像。画面いっぱいに老若男女が町について活き活きと語るモノローグ集、陶器の製作過程をみせながら映し出す伝統陶芸の持つ魅力と美。そして陶器の瓶で作られたグアングアンチアンという独特な壁が古都の景色に溶け込み、民族音楽と協奏する街の風景。中国ドキュメンタリーのなかでは、異色な映像美の追求。職業画家である監督の新鮮さ溢れる初映像作品。
10.20(金)14:30 @アテネフランセ文化センター